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対人援助研究会(5) :「高齢期における心理的支援とは」
2013.12.09臨床心理センターニュース
今年度の北翔大学臨床心理センター主催「対人援助研究会」は,
「乳幼児から高齢者までのライフサイクルにおける課題と支援を考える」をテーマに行われています。
 
11月回の概要を下記にてレポートいたします。ご一読いただければ幸いです。
 
本会はテーマに関心がある方はどなたでもご参加いただけます。ご参加お待ち申し上げております。次回以降の概要については,下記サイトを参照下さい。
http://www2.hokusho-u.ac.jp/sisetu/rinsyo_f/news/2013040101
*詳細のお問い合わせは、臨床心理センターまで

【平成25年度対人援助研究会第5回】
テーマ:「「高齢期における心理的支援とは」」
日時: 11月19日(火)18:45~20:45
話題提供者: 風間雅江教授(専門:コミュニケーション心理学,介護者の心理)
コメンテーター:村瀬嘉代子(北翔大学大学院 教授/日本臨床心理士会会長)
場所: 北翔大学732教室(江別市文京台23番地)
 

【院生レポート】
第5回目となる今回は、本学人間福祉学部福祉心理学科の風間雅江教授より「高齢期における心理的支援とは」と題して話題提供がなされた。自身のこれまでの勤務経験や失語症の方の当事者会に携わっている経験から、高齢者との関わりや心理的な支援について話がなされた。
はじめに、「高齢者の方にはこちらが支援するということよりも多くのことを教えてもらい支えてもらっている」ことを話され、サクセスフル・エイジングを体現し活躍されている高齢者などのエピソードを挙げられた。
次に、生涯発達の観点から、ライフサイクルは断片的に考えるものではないこと、高齢期はそれまでの人生を統合し、人生の意味の再確認の時期であることや、高齢期におけるライフイベントと危機について語られた。
高齢者への心理的支援の話題では半身麻痺と失語症をもつ夫を介護する妻の事例を紹介し、心理面のみでなく、その人の現実生活を広く見渡した上で多面的なかかわりを工夫していくことが必要であると述べられた。高齢者のこれまでの人生の歴史に敬意を持ちながらその人にとっての人生の意味や幸福について模索し、人生を理解しようと傾聴すること、苦悩により見え辛くなっているその人の潜在的な力を共に見出していくことが重要であると語られた。また、当事者だけでなく家族・介護者の苦悶に寄り添う長期的な心理的支援の必要性について述べられ、一回一回の面接を大切にし、質的に重要な意味を持ったアプローチを心掛けることの必要性が語られた。
コメンテーターである村瀬嘉代子教授からは、“3つの柱”として「現代の日本の高齢者の課題は社会構造的なものによって規定されているのではないか。そのことについてどう考えるか。」「人間らしい精神文化とは何であるか。“人が人らしく幸せに生きるためには、どのようなものの考え方や感じ方が大事であるか”を本質的に教えるような教育が必要ではないか。」そして「人にとって自尊心は重要なものである。その自尊心をどうやって見つけるのかということが高齢者や介護にあたる人の支援に関わるときのコツになるのではないか」とコメントされた。
今回の研究会から、高齢者の方と関わる際にはその人の人生への敬意を持つことや、こちらが支援する一方ではなく、高齢者の方からも多くのことを支えてもらっているという感謝や謙虚さを忘れてはならないと改めて考える機会となった。また高齢者の家族や生活、置かれている環境にも目を向け、多面的・複眼的な視点が高齢の方への支援やアプローチにおいて大切なことであると考えた。
(修士課程人間福祉学研究科臨床心理学専攻 1年 宮腰祐香)