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臨床心理センター主催「対人援助研究会」の再案内と7月回レポート
2013.09.02臨床心理センターニュース
大学HPのリニューアルにともない,今年度の北翔大学臨床心理センター主催「対人援助研究会」について再度案内させていただきます。
  北翔大学臨床心理センター主催
「対人援助研究会~乳幼児から高齢者までのライフサイクルにおける課題と支援を考える」
開催日とテーマはこちらからご確認ください。
http://www2.hokusho-u.ac.jp/sisetu/rinsyo_f/news/2013040101
*詳細のお問い合わせは、臨床心理センターまで。



5月回「乳幼児期の子どもと親への支援を考える」
http://www2.hokusho-u.ac.jp/sisetu/rinsyo_f/news/2013060701
6月回「中学生・高校生年代を考える~診断名の奥にあるその人自身に目を向けて~」
http://www2.hokusho-u.ac.jp/sisetu/rinsyo_f/news/2013070801
7月回「青年が大人になっていく過程の支援:中高生・大学生との関わりから」
※下部にレポート掲載。
 
本会はテーマに関心がある方はどなたでもご参加いただけます。ご参加お待ち申し上げております。
 
 
―7月回レポート―――――――――――
 
【平成25年度対人援助研究会第3回】
テーマ:「青年が大人になっていく過程の支援:中高生・大学生との関わりから」
日時:7月16日(火)18:45~20:45
話題提供者:川崎直樹 准教授(専攻:臨床心理学,青年期の支援)
コメンテーター:村瀬嘉代子 教授(北翔大学大学院/日本臨床心理士会会長)
場所: 北翔大学732教室(江別市文京台23番地)
 

【院生レポート】
第3回目の開催となる今回は、本学人間福祉学部福祉心理学科・川崎直樹准教授より「青年が大人になっていく過程の支援:中高生・大学生との関わりから」と題して話題提供がなされた。スクールカウンセラー、大学学生相談室、大学教員としての勤務経験から、青年が「大人」になっていく過程で求められる支援のあり方について考えたことを話された。
はじめに、中学・高校、大学生と関わった経験から、それぞれの立場にある青年たちが大人になっていく過程で抱える困難さを話題にしていた。例えば、中学生では、義務教育であるという学校環境から不登校の生徒であっても本人のペースが尊重されやすいが、高校生には「出席日数」の厳しさがより明確にあり、単に生徒本人のペースが尊重されるだけでは乗り越えがたい現実があると話されていた。また、大学生には「就職活動」における困難さがあると述べていた。
こうした、現実との折り合いの中で生き方を考えていく青年たちに対して、大人たちができる支援とは何かを問いかけていた。「青年は支援をされるというよりも、身近にいる大人を見て、自分はこの先どのような大人になるのだろうか、ということを描くのではないだろうか」と話し、青年に向けて何かをする以前に、傍らにいる大人が、どんな大人像を見せるのか、自分はしっかりとした大人であるか、を考える必要があるのでは、と述べていた。できることとして大事なことは、”手応え”を送ることであり、青年の努力している面に「頑張っている」と伝え返したり、青年自身が必ずしも意識していない「よいところ」を伝えるなどすることも、大切かもしれないと話されていた。
コメンテーターである村瀬嘉代子教授からは、「大人という言葉をどういう意味で考えるかが、このテーマで発表することにも、臨床的にも、人が生きていくということの上でも、大事な意味を持つのではないか」と問いかけられ、「人を理解する時に青年の方が未熟で、大人の方が成熟しているという見方をもう一度考える必要がある」「支援よりも、自分から一緒にやるということには賛成である」などのコメントが述べられた。
今回の研究会から、青年と向き合う以前に、我々が「大人」をどのような意味で捉えるかを考える機会であった。青年は大人の姿を見て成長していき、大人も青年の姿を見て大人像の描き方を考えることができることから、青年と大人は互いに影響を与えながら成長していくのではないかと感じた。また、大人は青年に対して支援といった一段上からの考え方ではなく、青年が直面している物事を大人も一緒になって取り組み、青年の立場になって物事を考えようとすることで、本当の意味での理解に繋がるのではないかと考えた。
 
人間福祉学研究科臨床心理学専攻 修士課程1年 中脇禎紀