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スポーツ教育学科 新着情報

4年生の皆さんは卒論の課題は決まりましたか?
2023.05.31スポーツ教育学科
 学生の皆さんは、エクスプローシブパワーという単語を耳にしたことはありますか?トレーニング指導者を目指している学生さんは聞いたことがあるかと思います。エクスプローシブとは日本語で爆発的という意味であり、スタートダッシュやジャンプ時のような一気に大きな力を発揮することが必要な場面で、この爆発的なパワーが発揮されます。このエクスプローシブパワーを改善するトレーニングの一つにメディシンボール投げがあります。メディシンボールは、1kg程度の軽いものから10kg程度かそれ以上の重いものまでありますが、どの重さでトレーニングを行うべきでしょうか?現状では、“まあだいたい、重すぎず軽すぎず”の重さを選んでいるかなと思います。スクワットで下半身の最大筋力の増加を目指したトレーニングをする場合は、まず最大筋力を測定し、最大筋力の85%以上の重さに設定し、数回繰り返し、十分な回復後に数セット行うようなプログラムが組まれます。しかし、メディシンボール投げでは、アスリートそれぞれの体力レベルが違うにもかかわらず、適度な重さが分からないままトレーニングを行っているのが現状です。
 近年、加速度計を内蔵したメディシンボールが開発されています。このメディシンボールを使えば、速度が分かります。投げた時のパワーが分かります。複数の重さのメディシンボールを用いれば、重量とパワーの関係性からどの重さのボールを投げた時に最大パワーが発揮されたかが分かります。メディシンボールを用いたエクスプローシブパワーのトレーニングを行う場合の、人それぞれの適度な重さが分かります。今のところ、メディシンボールを用いたエクスプローシブパワーの至適運動強度を検討した研究はありません。卒論としては十分ですし、トレーニング科学分野への貢献もできます。
 身近なところに研究課題はあります。本学には学生アスリートもいますし、将来トレーニング指導者を目指す学生もいます。学生さんにはまず、普段取り組んでいることや身近なことに疑問をもってください。それが卒論の課題になるかもしれません。次に、調べる。教科書や論文に書いていなければ、卒論の課題になります。仮説を立て実験を行い、データを取得して、考えたことが正しいか否か明らかにする。それが卒論になります。
 卒論は、単なる卒業必修科目ではなく、学生の皆さんを大きく成長させてくれます。大学最終年度の皆さん、頑張ってください。
 
教授・井出幸二郎 (専門:運動生理学・体力学)


加速度計を内蔵した4kgのメディシンボール


加速度計内臓のメディシンボールでローテーションスローを10回行った際のパワーやスピードの変化