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研究科長挨拶


大学院生涯学習学研究科 研究科長
三浦 公裕(みうら きみひろ)

 生涯学習学研究科は、心身の健康増進と生きがいある人生の創造を目指す人々を支援するため、教育学・芸術学・心理学など人間科学の幅広い素養を基盤に、生涯学習の振興に資する高度な学識と実践的指導力を備えた専門家の養成を目的としています。近年、生涯学習は教育政策上の重要性を増し、とりわけ市町村では、まちづくりや豊かな生活を支える「人づくり」の中核として位置づけられています。
 こうした社会的要請に応え、本研究科は実践と研究の統合を図りつつ、生涯学習を地域の政策課題として捉え、その企画・推進を担う資質と能力の育成に重点を置いています。あわせて、心理・福祉の視点を踏まえ関係機関と連携し、児童生徒を包括的に支援できる教員の養成が求められる中、現職教員の学修ニーズにも応え、実践経験の理論的整理と深化を通して専門職としての力量向上を支援します。
 
 本研究科の特色は、以下の4点に集約されます。
 1つ目は、社会人の学びを支える柔軟な教育環境です。近年の社会人・職業人の進学ニーズに応え、ICT活用や柔軟なカリキュラムにより、仕事と研究を両立できる学修環境を整備し、多様な受講形態に対応しています。また、社会人学生と学部進学者が共に学ぶことで、実務経験と学術的知見が相互に作用し、多角的な視点を養います。こうした交流は、実践に根ざした理解の深化と新たな知の創出につながります。
 2つ目は、学際的研究による教育・研究の高度化です。生涯学習は、教育学のみならず、心理学、芸術学、福祉学など多様な領域と密接に関連しています。こうした特性を踏まえ、専門分野の枠を越えた学際的な研究を推進しています。複合的な視点から地域や社会の課題にアプローチすることで、従来の枠組みにとらわれない新たな知見を創出し、大学院教育・研究の質の高度化を図るとともに、社会の持続的発展に寄与することを目指しています。
 3つ目は、高度専門職としての資質形成と資格取得です。現代の教育課題には、専門知識に加え、現場での実践力と多職種連携の視点が不可欠です。本研究科では、学校教育・社会教育の臨床的場面で指導的役割を担う高度専門職の育成を重視しています。そのため、専修免許状※1 や学校心理士資格※2 の取得に対応した教育課程を整備し、理論と実践を相互に活かしながら専門性を高めます。なお、令和9年度入学者より、養護教諭専修免許状※3 の取得に向けた体制整備を進めています。
 4つ目は、研究指導の充実と高度な研究能力の育成です。体系的な授業履修に加え、指導教員による継続的・個別的な研究指導を重視しています。院生は自らの課題に基づき、修士論文または課題研究に取り組み、文献検討や調査・分析、考察などの研究手法を体系的に修得します。これにより、学術的妥当性の高い成果を導く力と専門分野における高度な研究能力を養い、実践の質を高める理論的基盤を確立します。
 
 「人生100年時代」といわれる今日、生涯学習の重要性は一層高まっています。生涯学習は学校教育にとどまらず、家庭教育や社会教育、スポーツ・ボランティアなど広範な学びを含みます。こうした中、行政や教育機関、NPO、企業等による学習機会の提供と知的資源の社会還元が求められています。そのような生涯学習をめぐる社会的背景のもと、本研究科では、生涯学習学の教育・研究を通して、研究主題の設定力と方法論を修得し、その振興に寄与する専門職・研究者を養成しています。
修了生は、地域社会や教育現場で中核的役割を担い、社会の課題解決と活力ある地域づくりに貢献しています。教育現場、芸術文化施設、自治体、企業などで専門性を活かしながら、生涯学習の推進や人材育成、地域づくりに関わる実践に携わっています。さらに、研究者や大学教員として活躍する者や、事業創出に新たな価値を生み出す者もいます。また、専門性の一層の深化を目指し、博士課程へ進学する修了生も増加しています。
 本研究科を目指す方には、本研究科で得られる知識と経験を力に、社会の多様な場で新たな価値を創出し続ける存在となることを期待しています。
 
 ※1 幼稚園、小学校、中学校・高等学校(音楽・美術)、特別支援学校(知的障害者・肢体不自由者・病弱者)の
     一種免許状を有する方は、所定の科目を修めることで、それぞれ当該免許状の専修免許状の取得が可能です。
 ※2 一般財団法人日本学校心理士認定運営機構が認定する「学校心理士」の受験資格を得ることができます。
 ※3 文部科学省における審査の結果、予定している教職課程の開設時期等が変更となる可能性があります。