
大学院生涯学習学研究科 研究科長
三浦 公裕(みうら きみひろ)
人生100年時代と呼ばれるなか、より豊かで充実した人生を過ごすために生涯学習が推進されています。生涯学習は「生涯行うあらゆる学習」を指し、学校教育はもとより、家庭教育・社会教育・スポーツ活動・ボランティア活動などさまざまな場所で行われています。人々の生涯学習の意識が高まるなか、生涯学習機会の提供、行政機関や教育機関、各種団体・NPO、企業・事業者など、社会に向けて積極的に知的資源の還元が期待されています。現代社会においては、これまでのSociety4.0(情報化社会)から、すべての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、課題や困難の克服を目指すSociety5.0へと向かっています。こうした社会構造の急激な変化に対応し、高度化と多様化に適応することのできる自立した一人の人間として、力強く生きていくための総合的な力としての人間力の育成が課題となっています。今後ますます変革や発展を続ける社会において、理論と実践にかかわりのある学術諸分野の総合的・学際的な研究・教育を修得し、高度な能力・識見と専門的実践力を備えた生涯学習学の向上に寄与できる専門家が強く求められています。
北翔大学大学院生涯学習学研究科の教育目標は、心身の健康増進を図り、生きがいのある人生を創造するという人々の生涯学習を支援することです。そのため教育学、芸術学、心理学など幅広い人間科学的な素養の上に生涯学習の振興に関わる高度な学識と指導力を身につけた専門家を育成することです。特に、生涯学習が教育政策として重視されるにつれ、市町村ではまちづくりや地域の豊かな生活の創造を支える「人づくり」が生涯学習の中心を占めるようになってきています。このことに対して、実践と研究を統合し、「生涯学習」を地域における政策課題として企画・推進する資質、能力の育成に重点を置いています。平成16年の開設以来、現在100名を超える修了者が、学校現場・教育行政、福祉施設、一般企業の研究職や大学教員などとして、様々な分野で活躍しています。
本研究科の特色は4点です。1つは、急速な社会変化を背景として、大学・大学院に入学する社会人、職業人の数が急速に増えてきていることに対して、柔軟なカリキュラム運営を実施していることです。2つは、社会における生涯学習・研究活動の多くが大学の教育・研究活動に依存する傾向にあることに対して、大学の教育・研究活動に新たな視点を加え、その質を高度化し、今後の社会発展に貢献するために、学際的な研究活動を認めていることです。3つは、今日の教育問題に対応しうる観点から、社会教育、学校教育等の教育臨床場面において、専門的、指導的立場で対応できる資格(専修免許・学校心理士)を身につけるための教育・研究を行うことです。4つは、それぞれの領域において必要とされる授業科目を提供するだけでなく、学術研究の進歩に向けて、研究指導を重視し、学位論文又は本研究科の目的に照らして適当と認めた特定の課題研究に取り組むことを可能にしていることです。
本研究科では「生涯学習学理論領域」と「生涯学習活動論領域」の2つの領域で編成され、それぞれの領域では講義科目である特論と、その内容を発展させ、研究能力・実践的能力の向上を図る演習科目を配置し、大学院生の研究課題の解決に役立つよう設定しています。
令和6年度、生涯学習理論領域に新たに生涯学習活動特論を新設し、生涯学習学を専門とする教員の研究活動や教育実践などから、生涯学習学における研究主題の設定や研究方法を習得し、生涯学習の振興に資する専門職及び研究者の育成をめざしました。研究科で学んだ豊かな知識・経験を活かせる場を見出して、社会の担い手として活躍することは、学びを修得した者だけの生きがいとなるだけではいけません。社会や地域が抱える課題の解決や活力ある社会の形成に力を尽くすことが重要であると考えます。そのことは個人のみの利益を超えて他者や社会の発展を思い、かかわり合う人々に喜んでもらいたい、社会をより良いものにしたいという高次な価値です。本研究科で学ぶ皆さんが、様々な分野で活躍し、生涯学習の発展に力を尽くしてくれることを期待しています。