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スポーツ教育学科 新着情報

音楽と運動を融合させた認知症予防プログラム作成の試み2
2025.06.06スポーツ教育学科
 高齢になると、複数の課題を同時に処理する「デュアルタスク能力」が低下しやすく、特に認知症の初期段階ではその障害が顕著に現れることが知られています。近年では、身体運動と認知課題を同時に行う介入法が、脳機能の活性化や認知症予防に有効であると注目されています。本ゼミでは、身体を動かしながら楽器を演奏するという、運動と音楽を融合させたデュアルタスク型の認知症予防プログラムの開発を目指しています。
 本プログラムの特徴は、P-tunesのような身体に装着可能な楽器を用い、参加者が身体を動かしながら、他者と合奏する点にあります。合奏には、単なる音の再現以上に、他者の動きや音を聞き取り、それに合わせて自らの演奏を調整する協調性が求められます。この協調的な活動は、前頭前野を含む複数の脳領域を同時に刺激するだけでなく、**社会的交流(ソーシャルインタラクション)**を自然に促進すると想定されます。また、共通の目標に向かって楽曲を完成させるというプロセスは、参加者に達成感や自己効力感をもたらし、心理的ウェルビーイングの向上にもつながると考えられます。身体的・認知的・社会的側面を同時に刺激するプログラムを作成し、高齢者の健康維持と生活の質の向上に貢献する、新たな認知症予防アプローチの作成を目指しています。
 北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科では、生涯にわたってスポーツに親しむことができる健康で豊かな「生涯スポーツ社会」の構築に貢献するために、スポーツや健康に関する理論や実践について探求し、主体的・活動的・健康的な生き方を実践・支援できる人材を育成しています。認知症の予防の運動プログラムを作成し、実施できるような人材も社会的に求められています。そのようなことを学びに興味がある高校生の皆さんには、是非北翔大学生涯スポーツ学部の受験を検討し、本学で学んでもらいたいと思います。
 
教授・井出幸二郎 (専門:運動生理学・体力学)

手で押すことにより演奏することができるポンプ


「身体に装着したP-tunes(ポンプの様な楽器)」


「身体に装着したP-tunesを身体を動かしながら音を鳴らし、演奏するイメージ」