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対人援助研究会(6) :『死のそなえの時期における心理的援助』―"well-dying"をめざして
2014.01.06臨床心理センターニュース
今年度の北翔大学臨床心理センター主催「対人援助研究会」は,「乳幼児から高齢者までのライフサイクルにおける課題と支援を考える」をテーマに行われてきました。
 
12月に行われた最終回の概要を下記にてレポートいたします。ご一読いただければ幸いです。
 
今年度の研究会は今回で終了となりました。多くの方々のご参加に,心から感謝申し上げます。次年度以降の企画にも,ご参加やお力添えをいただけますよう,お願い申し上げます。
http://www2.hokusho-u.ac.jp/sisetu/rinsyo_f/news/2013040101
*会の概要は、こちらから
 
【平成25年度対人援助研究会第5回】
テーマ:「『死のそなえの時期における心理的援助』―"well-dying"をめざして」
日時: 12月17日(火)18:45~20:45
話題提供者: 大宮司 信 教授(本学医療福祉学科教授/北海道大学名誉教授。専
門:精神医学,現代人のうつと不安)
コメンテーター:村瀬嘉代子(北翔大学大学院 教授/日本臨床心理士会会長)
場所: 北翔大学732教室(江別市文京台23番地)
 


【院生レポート】
今回は,本学人間福祉学部の大宮司信教授より、「『死のそなえの時期』における心理学的援助―”well dying”をめざして―」と題して話題提供が行われた。「よき死をその方なりに迎えること」を指す”well dying”という概念を軸に、死を身近に感じている人はいかに死へ向かうのかについて、エリクソンのライフサイクル論や,症例も交えた考察が行われた。
発表の中で「大往生」という言葉が挙げられていた。多くの人は大往生を遂げたいと思うが、親鸞上人の言葉からは「大往生は『自分は大往生でなくてもよい』と思えたときにかえって出てくるものである」という。しかし、こうした主張を基に,死を身近に感じている人に,意図的に大往生を引き起こそうと何らかの細工をすることは、発表者自身には困難と述べていた。むしろ「医者として、今この場で何ができるか」と考えながら死に向かう人と向き合うことが重要であろうとも述べられていた。
さらに、よき死を迎えることにつながるものとして、「自分との和解」が大切になると話された。人が生きていく中では,喪失体験などの「小さな死」が繰り返される。そのことが、人生の終わりという「大きな死」を迎えるときにも役立ちうるということが指摘されていた。また「よい死に方は,よい生き方で生じる」といった言葉も紹介され、子どもや若者といったライフサイクルの前半にいるような世代の人であっても、死とのつながりを持ちながら生きていることを考えるきっかけとなった。
参加者との間においても、死のあり方を巡る様々な議論が行われた。ある参加者の方からは、死が迫り来ることをどう受け止めるかは年齢層や個人的な経験によって異なるのではないかという意見が出された。また、大往生とはどういうことなのかという質問に対しては、時代を反映した価値観や本人と周りのいる人の認識によって変わりうるものであろうと大宮司教授は述べていた。加えて、死を迎えようとする本人の周りにいる人々、特に残された家族に焦点を当てた意見もあり、死に関する捉え方は、立場の違いによって様々であるという印象を受けた。
コメンテーターの村瀬嘉代子教授からは、「どんな死に方をしても、その人の死に方には意味がある」ことや「そこから生きている私たちは何を教えていただき、尊いものは何かと考えること」の大切さについて指摘がなされた。その一方で、今の時代には色々な考え方があり、死について「絶対にそうだという正解はない」という相対性についても言及されていた。
今回の研究会を通して、死の迎え方を巡る視点の多様性を再確認することとなった。また、一回性としての死が持つ重みに触れることで、周りの人が本人の死について価値判断を下すことの難しさを実感した。対人援助職においても、一人ひとりの死が持つ意味を考え、尊重する姿勢が求められているように思う。
(修士課程人間福祉学研究科臨床心理学専攻 1年 新井博達)