アスレティックトレーナーは、コンディショニング、すなわち身体を整えることを専門としています。コンディショニングでは、パフォーマンスを向上させるためのトレーニング方法やケガを予防するためのエクササイズを指導したりします。アスレティックトレーナーを目指す学生たちのなかには、部活動で競技としてのスポーツ経験をもとに運動感覚が優れていて、エクササイズを難なくできてしまう者もいます。一方で、高いレベルの競技実績はなく、また決して運動が得意というわけではないものの、プレーヤーを支えるアスレティックトレーナーの仕事に魅力を感じて意欲的に学ぶ学生もいます。競技経験の有無に関わらず、安全かつ効果的なエクササイズ指導のためには、教え伝えること自体に練習が必要です。
　パフォーマンスの向上やケガ予防のために、コンディショニングや解剖生理学などの専門知識をベースに、言葉と身体を巧みに使ってエクササイズの要点やコツを伝えます。エクササイズ指導では、対象者のレベルや特性に合わせて、頭の中にインプットされた専門知識を言葉と身体表現によるアウトプットへと転換します。この時、「自分でやってみた」ことがあるという経験、できなかったことが「できるようになった」という経験が、エクササイズ指導のアウトプットにとても役立ちます。
　失敗は成功への糧です。教えることを通して、「知っている」ことを「わかる」そして「できる」レベルにまで到達するよう、アスレティックトレーナーを志す学生たちは、日々学んでいます。