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スポーツ教育学科 新着情報

音楽と運動を融合させた認知症予防プログラム作成の試み
2024.05.29スポーツ教育学科
ソソミミファミレド ソソミミレ- ミミソソ ララララ・・これは童謡「どんぐりころころ」の出だしの音階です。ここ最近、私の研究室では「曲を楽器で演奏しているときに前頭前野の活動が高まるか?」について調べています。なぜ、スポーツ教育学科で楽器演奏中の脳活動なんかを調べているのか?と思われるでしょう。私の研究室では認知症予防のための運動プログラムを作成することを目標に研究を進めています。ピアノやバイオリンなどの楽器演奏をしてきた人では認知症患者が少ないことが分かっていますが、楽器演奏をしたことのない高齢者にとっては、指先の細やかな動きが必要とされるピアノやバイオリンを、認知症予防のために高齢になって始めるのはハードルが高いと思われます。しかし、指ではなく手を使って簡単に演奏できる楽器(写真1)であれば、高齢者でもできそう、、、でも、簡単な楽器演奏で脳は刺激されるのか?そこを調べています。写真2は、「どんぐりころころ」をベルを使って演奏しているときの前頭前野のヘモグロビンの変化の典型例です。近赤外線分光装置という組織のヘモグロビンの変化を調べる装置により前頭前野の活動を評価したものです。同じ人が今度は「ドレミファソラシド」をベルを1分間鳴らした時は、ほとんど変化は認められませんでした(写真3)。手を動かさず頭の中で「どんぐりころころ」を暗唱してみると、少し変化が見えました(写真4)。ということは、単純にベルを鳴らすだけでは前頭前野の活動は高まらないが、頭の中でどんぐりころころの楽譜を思い出すと、前頭前野の活動が高まり、ベルで演奏して音を聞いて正しく演奏できているか確認することでさらに前頭前野の活動が高まるようです。現在まで数名ですが、たくさんの人に研究協力してもらい、統計的にも簡単な楽器を用いて曲を奏でるときに前頭前野の活動が高まることが確認できれば、簡単な楽器演奏と運動を組み合わせた認知症予防のプログラムを作成したいと思っています。これは難しい課題ですが。
北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科では、生涯にわたってスポーツに親しむことができる健康で豊かな「生涯スポーツ社会」の構築に貢献するために、スポーツや健康に関する理論や実践について探求し、主体的・活動的・健康的な生き方を実践・支援できる人材を育成しています。認知症の予防の運動プログラムを作成し、実施できるような人材も社会的に求められています。決してゴリゴリのスポーツサイエンスではありませんが、運動を通して人々の健康に役立ちたい、そのようなことを学ぶことに興味がある高校生の皆さんには、是非北翔大学生涯スポーツ学部の受験を検討し、本学で学んでもらいたいと思います。
 
教授・井出幸二郎 (専門:運動生理学・体力学)
 

 キャップをたたいて演奏することができるベル


「どんぐりころころ」をベルで1分間演奏した時の前頭前野のヘモグロビンの変化



「ドレミファソラシド」をベルで1分間鳴らした時の前頭前野のヘモグロビンの変化


「どんぐりころころ」を1分間暗唱した時の前頭前野のヘモグロビンの変化