西村研究室は、スポーツ・運動や体育科教育を専門的に研究するスポーツ教育学科のなかで、唯一子どもの発達援助について教育学的に研究するゼミ活動をしています。とくに、国内外の学校教育や社会教育の現場をフィールドワークしながら、社会的排除のリスクに抗する教育制度や実践づくりを研究しています。2022年度は、オルタナティブな教育を実践している福岡の2つの現場を訪れました。1つは、「日本一自由な学校」と称される学校法人きのくに子どもの村学園の系列校「北九州子どもの村小中学校」です。ここでは、通常の教科別授業ではなく体験を通して学ぶプロジェクト学習を軸に授業が行われ、教師・児童生徒といった役割関係ではない大人と子どもとの関わりのなかで、自己決定と一人ひとりの個性が尊重される学びが実践されていました。もう1つは、株式会社立「明蓮館高等学校」です。この広域通信制高校には、発達障害のある若者が心理支援の専門職を中心とした職員集団がサポートするかたちで普通教育を受ける体制が整えられていました。ゼミ生たちはこれまで学んできた公立学校を前提とした教育と異なるアプローチの教育現場の実際に触れ、旅行中教育とは何かについて議論の花を咲かせていました。帰りに彼らの話は尽きず、きのくに子どもの村学園をモデル長沼町に2023年開校した「まおい学びのさと小学校」に立ち寄りました。フィールドワークを行いながら、自分の知らなかった世界と出会い、他者と出会い、そして自分自身と出会いなおす学びをゼミ活動では大切にしています。
准教授・西村 貴之(教育学)
「北九州子どもの村小中学校」
「校長との質疑応答」
「明蓮館高等学校SNEC博多」
「SNEC博多の取り組みについてレクチャーを受ける」
「まおい学びのさと小学校見学」